今日はぽかぽか、暖かい土曜日でした。
仕事も休みだったので、シーツなど洗って、干すついでに庭の草取りをして、片付けモードに入ったついでにクローゼットの整理など。
そうしたら、娘がちいさいころに読んでいた、なつかしい絵本が出てきました。
いい絵本は世代を超えて
わたしにとって絵本は、子どものころから身近なものでした。
物心ついたころから、両親がセット買いしてくれた絵本をとっかえひっかえ、暗記してしまうくらい読んでいた記憶があります。
その一部は、表紙が取れかけていたり、読みながら食べていたお菓子のかすがこびりついたような汚れが残っていたりしますが、今でも手元に残しています。
自分が親になってからは、それらの古い絵本に新しい絵本も買い足して、娘がお座りできるようになったころからだったでしょうか、たくさんの絵本をいっしょに読みました。
膝に抱いた子どもの重みや温もり、開いた絵本をじーっと見ていたり、指さしたり、声を上げたり、足をばたばたさせたりする様子を、今でも懐かしく思い出します。いい時間だったな。
保育園に入ってからは、園で子どもが気に入った本を貸してもらえたので、娘は毎日のように「『さっちゃんのまほうのて』を貸してくださいって、お帳面に書いてね」などと言って、本を借りてきては一緒に読んでいました。親が与えたものではない、子どもが選んできたものを読むのも「こういうのも好きなんだな」という発見があっておもしろかったです。
せっかく久しぶりに手に取ったので、今日は、特に記憶に残っている絵本をご紹介しようと思います。
「いない いない ばあ」
松谷みよ子さんの「あかちゃんの本」シリーズの一冊。
発売から半世紀、600万部をこえる、日本で一番売れている絵本(トーハンミリオンぶっく2015年版調べ)だそうです。「ああ、これね!」と、ご存じの方も多いかもしれません。
(ぼろぼろですけれど 笑)
「ばあ」で 娘はとても楽しそうに声を上げて、足をばたばたさせていたものです。
そのうち、読みなれてくると、
「くまちゃんがほらね、いないいない……」のところで、もうすでに次を期待して、にこにこ、ウキャウキャするように。
その様子を見ながら、少しじらして、「ばあ!」とページをめくるのが楽しかったものです。
子育てに不安いっぱいの新米ママにとって、自分の読んだ絵本でわが子がこんなに喜んでくれる、というのは、とてもうれしいものでした。
出てくるどうぶつが変わるだけで、他には何もない、そして特段カラフルでもないこの絵本、今の若いお母さんが見たら、あまり魅力的に思わないんじゃないかと心配になるほどです。
でもこの一見地味な本が、どれだけたくさんのあかちゃんとお母さんを笑顔にしてきたことか。
みんなを笑顔にする、魔法のような絵本です。
松谷みよ子さんの本では、「モモちゃんの本」シリーズも、親子で大好きでよく読みました。
「ねないこ だれだ」
わたしだったらまず選ばない、この怖そうなこの絵本がうちに来た経緯はよく覚えていないのですが、娘はよく「読んで」と持ってきました。
このおばけが、夜中に起きていた子どもに、「よなかに あそぶこは おばけに おなり」と言って、手をつないで、おばけの世界に連れて行ってしまうお話です。
連れていかれる子の足が、途中からおばけと同じシルエットになって、夜空に連れていかれてしまうラストは、大人が見てもなんだか怖い。娘も「こわーい」とは言っていましたが、でもなぜか好きでした。
連れていかれたっきり、許しも救いもないこの本を、どうして子どもが好むのかが不思議で、なんだか人間の根源にかかわる哲学的な要素があるような気もして、それで印象に残っていました。この本も発刊から半世紀。ロングセラーには不思議な魅力があるのでしょうね。
「ぐりとぐら」
この本も大人気シリーズですので、お持ちの方も多いかもしれません。
のねずみの「ぐり」と「ぐら」が、森の奥で見つけた大きなたまごを使って、大きなかすてらを作るお話です。
いいにおいに引き寄せられた森のどうぶつたちと一緒に(なぜかゾウもワニもカニもいます)、みんなでかすてらを食べる場面の楽しそうなこと。大村百合子さんが描く絵が本当に魅力的です。
そして、この絵本で一番思い出深いのは、出てくる「歌」です。
「ぼくらの なまえは ぐりとぐら
このよで いちばん すきなのは
おりょうりすること たべること
ぐり ぐら ぐり ぐら」
初めて娘に読んでやるとき、わたしはこの歌に、即興でメロディーをつけて歌いました。
それからは、娘にとってはそのメロディーがこの歌になったようで、わたしも毎回同じメロディー、同じリズムで(われながらなかなか楽しくリズミカルです)歌ってやりました。
娘は大人になってからも、同じメロディーでこの歌を歌います。三つ子の魂百まで(笑)。
もちろん、そのメロディーは母がテキトーにつけたものだともうわかっているわけですが、それでもわが家ではこれが「ぐりとぐらの歌」なのです。
そんなふうに、親子にだけ通じる共通の思い出が生まれるのも、絵本の読み聞かせの楽しみのひとつなのかもしれません。
「いやいやえん」
最後に、絵本ではありませんが、中川李枝子さん作つながりで、童話「いやいやえん」。
中川さんの絵本も大好きで、他に「そらいろのたね」「ももいろのきりん」なども持っています。
中川さんといえば、「となりのトトロ」の歌「さんぽ」の作詞者でもありますね。
「いやいやえん」は、わたしが生まれる前に出版されていた童話集で、この↑画像の本は、わたしが子どものころ読んでいたものです。
しみだらけですが、わが家にとってはこれも思い出。
ごらんのように、絵本ではなく、文字と白黒の挿絵の本ですが、4歳くらいからは読み聞かせを楽しんでいたように記憶しています。
「ちゅーりっぷほいくえん」に通う「しげる」が、いたずらをして「ものおき」に入れられたり、つみきで作った船で海にくじらとりにいったり、やまに住むこぐまの「こぐちゃん」と友達になったり。タイトルの「いやいやえん」は、なんでもいやだというしげるが連れていかれる別の保育園の名前です。
7編入っているどのお話も、子どもたちにとって日常である「ほいくえん」が舞台で、でもそこにふっと非日常が入ってきて最後にはまた日常に戻ってくるような、ワクワクドキドキと安心感が同居しているお話ばかりです。
今読んでもおもしろくて、この記事を書く前にひととおり読み直してしまいました。
そうそう、この中に出てくる「やまのこぐちゃん」は、「ぐりとぐら」の中でかすてらを食べるどうぶつたちの中にも出てきているんですよ。
終わりに
整理してみたら、うちには新旧とりまぜて(「新」と言っても、すでにアラサーとなった娘のあかちゃん時代ですが)70冊を超える絵本と児童書がありました。
この絵本たちが、親子のきずなをつなぐのに一役買ってくれたことはまちがいありません。
このごろの赤ちゃんたちはスマホで動画などを見せてもらっていることも多いようですが、昔からある絵本にもぜひ触れてもらいたいなーと思います。
若いお父さんお母さんにも、子どもを膝の上に抱いて一緒に絵本を読む楽しさを、ぜひ味わってもらいたいです。
「どの絵本を選んだらいいかわからない」という方には、「絵本ナビ」という絵本紹介サイトもあります。「0歳におすすめ」など、年齢別におすすめの絵本が紹介されていて、上に紹介したロングセラーの絵本はもちろん、話題の新刊なども。多くの方のレビューもあるので、参考にして選ぶのも楽しそうです。親子でお気に入りの一冊が見つかるといいですね。
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